天下一品

 晩になり、日中暴れた風はおさまりかけた。
 たしかに春風、とはいえ、寒の戻り。

 いつも通る帰りみち。
 はじめてのお店。
 木の意匠が、年季でぬくもっている。

 あまりの強風で電車に乗り損ねたといって昔馴染の店にやってきたひと。
 いつもらしく、お夕飯にやって来たひと(この方、食欲旺盛!)。
 すこしだけ古風な気分に浸りたいひと(わたし)。

 知らない同士の三人は、わずかな時間をともに。
 湯気が出そうに、可笑しい。
 このまちの笑顔は天下一品なり??