ことばの杖

 哲学を学び始めた頃、それとは知らずに多くの師に出会っていた。
 まだ十代だったせいもある。
 優れた方々にめぐりあえていたせいでもある。

 法学に進んでみたいとご報告したとき、当時まだお若かったある先生がお葉書をくださった。
 −法の道にダールマがあらわれますように。

 忘れようにも忘れられない、万年筆の一筆書き。
 わからないまま、幾歳月。

 このごろ、先生の厳しさを感じるようになりつつあります。
 お優しくて、涙もろくて、外国生まれですのに、日本の下町のおきゃんなところがおありだった(?)先生、ありがとうございます。
 ・・哲学は、古来から身を支える杖なんですね。