そういえば、あの日々・・

 わたしは、ハンス・ケルゼンという法学者を何年か越しで勉強しておりました。
 長年研究し尽くされ、これ以上研究する必要はありません、というアドバイスを沢山いただきながら・・それほど素晴らしい方でしたら是非研究させていただきたいと思いまして、細々と勉強をしておりました。
 
 ケルゼンは、理論を突き詰める学究肌でしたが、その生涯には、裁判官として過ごした時期や、行政官として過ごした時期があったそうです。彼は、実務経験について著作ではまず触れておりません。理論と実務の関わりは、いまも読者の自由な想像にまかされております。

 時代を揺るがす大きな異変が起き、よりどころを求めるとき、わたしは、いまも尊敬してやまないケルゼンを砦のように感じます。

 ここから一歩、踏み出せればいい。
 この日のために、研究の日々があったのかもしれません。