四代目

 4月は、出入りの多い月。
 古いマンションではジージーガーガー。
 連日メンテナンスの電気音が響く。

 しばらくの辛抱と思うや、「半日断水します」の大家さん筆張り紙。
 どうも音が激しいと思ったら・・。
 勢い余って余計なところを削ってしまったらしい・・!?
 詳細不明ながら、半日外出。

 幸いお天気。
 桜舞い散るなか、春風に吹かれ、自転車で3駅ほど・・。
 古い通りを、迷いながら、お目当ての先へ寄らせていただく。
 ふるさとの暖簾をくぐったよう。 

 安政以来の江戸っ子四代目という方にお目にかかる。
 今日は、たまたまお会いできたそうな。
 しゃべりながら、休みなく手元が動いている。
 おしゃべりに気を取られてふっと手元に目を落とすと、
 「はい、できました!」「!?」
 
 手で覚えたことばは、清冽な水のよう。
 威勢があって、淀みない。
 にこにこと揺るぎない姿は、自信にあふれておいででした。(なんとも、キュートな方なのです!!)
 「またおいで!」「はいっ!!」

 温かい手指のぬくもる作品を自転車の前かごに乗せ、どきどきしながらまちへ帰る。
 いつもの路地で・・。
 「いま帰り??、どうしたの?」「??」
 「神社の先で、四代目にお会いしまして・・」「!?」
 ・・ことばにならず、ご勘弁ください。