金太郎飴
心理学講義をしていたころ。
あまりに心理学を知らず、といって、あまりに哲学を教えたくなりまして・・。「哲学から心理学が誕生するまで」を連続講義。
本人は楽しくてたまらなかったのですが、教室から帰るバスのなかで、ある学生から、至極まともなコメント。
「どうやって哲学から心理学が生まれたかは、よくわかりました。でも、僕は、19世紀に生まれた心理学が現在どうなったかを聞きたかった。後輩から、今年の講義は現在の臨床心理学だって聞きました。でも、もう4年なので、就活して卒業します」「・・」
大変うれしくさびしく、はたまた申し訳なく拝聴。
半年くらいして、この学生と、駅のホームでばったり。会社帰りらしい。爽やかな、いい笑顔。にこにこして近づいてくる。
「僕のこと、覚えてますか?」「!?」
「ここで会ったって、だれにも言わないでくださいね」「??」
・・どこを切っても金太郎飴のように、幸せを感じます。