通せんぼ

 紙をながめて、こもりがちな日々。
 昨日は、暗くなるまえに、夕飯の買い物。いつもの坂道は、やけに寂しい。別の道をとおり、別のお店へ。
 氷のような雨の夕方は、みな同じことを思うのか、雨傘を濡らした方たちが、次々と傘をたたんではいってくる。混雑してて、あったか。
 帰りはまた、冷たい雨・・。
 ピンクの雨傘に、ピンクのダウンジャケットを着た女の子が、お母さんの前を跳んで歩いている。この雨が、よほどうれしい。わたしは追い抜かないように後ろを歩いておりました。
 ちいさな曲がり角で、お母さんは曲がりながら声をかける。「はい、ここを右に曲がりますよ。右はどっちかしら?」 ふたつの可愛い雨傘を右に見送りながら道を急ごうとしたとき、ピンクの傘のなかから左腕が伸びて、「こっち!」 グッドタイミング(?)で、通せんぼになりました。