鈴虫と宿題

 昨夜は鈴虫の音を聴きながら、白々と夜明けを迎える。夢とうつつの間で、昨日の講話のことをずっと考えていた。(ときどき、心地よく眠っていたとは思うけれど)
 昨日の講師は、かつてひょんな巡り合わせで教えを受けた方。何年前のことだろうか。何気なくおっしゃる言葉の重みが、あとでずしりと効いてくる。学ぶことを促され、大正期の判例評釈にさかのぼる勉強。道なき道を歩きながら、ひとまずの答えがみつかるまでが一年。ようやく重荷を下ろしたときは、嬉しいよりも終わった感で一杯。へとへとだった。
 
 明け方、鈴虫の音がだんだん遠くなるころ、またしても宿題を出されているのではないかと思い始め、おそらくそうなのだと気づく。否、気づいてしまった。この方の言葉は、じわりずしりと効いてくる。とぼとぼ行こう。